Splatune (Splatoon Original Soundtrack)

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Official cover.
Promo art.

Splatune is the original soundtrack for Splatoon, released in Japan on October 21, 2015. It features 2 discs with 61 tracks total, consisting of 37 in-game tracks, ten jingle tracks, and 14 sound effect tracks.[1][2][3] Also included are 4 alternate covers, lyrics to the music by the Squid Sisters, and 3 articles on some of the famous musicians and their music.

Tracks

Disc 1

  1. Opening {Squid Squad}
  2. Splattack!(Jam Session) {Squid Squad}
  3. Splattack! {Squid Squad}
  4. Ink or Sink {Squid Squad}
  5. Seaskape {Squid Squad}
  6. Kraken Up {Squid Squad}
  7. Metalopod {Squid Squad}
  8. Now or Never! [{Squid Squad}
  9. バトル 勝ちジングル (Battle – Kachi Jingle, "Victory! – Jingle")
  10. バトル 勝ちリザルト (Battle – Kachi Result, "Victory! – Results")
  11. バトル 負けジングル (Battle – Make Jingle, "Defeat – Jingle")
  12. バトル 負けリザルト (Battle – Make Result, "Defeat – Results")
  13. Friend List (Shellfie) {ABXY (Chirpy Chips)}
  14. Quick Start (Split and Splat) {ABXY (Chirpy Chips)}
  15. Hooked {Hightide Era}
  16. Sucker Punch {Hightide Era}
  17. プレイヤーメイク (Player Make, "Player Editor")
  18. ハイカラシティ 初回入場 (High-Color City – Shokai Nyūjō, "Visiting Inkopolis")
  19. ハイカラシティ チュートリアル (High-Color City – Tutorial, "Inkopolis Tutorial")
  20. 広場 (Hiroba, "Plaza")
  21. ロビー (Lobby)
  22. Ika Jamaica (Dubble Bath) {Cala Marley (Bob Dub)}
  23. Lookin’ Fresh {DJ Lee F. (DJ Lee Fish)}
  24. ハイカラニュース (High-Color News, "Inkopolis News")
  25. フェス お題発表 (Fes – O Dai Happyō, "Splatfest – Theme Announcement")

Disc 2

  1. ハイカラシンカ (High-Color Sinker, "City of Color") {シオカラーズ (Sea O'Colors, "Squid Sisters")}
  2. フェスマッチ オープニング (Fes Match – Opening, "Splatfest – Match Opening") {シオカラーズ (Sea O'Colors, "Squid Sisters")}
  3. キミ色に染めて (Kimi-iro ni Somete, "Ink Me Up") {シオカラーズ (Sea O'Colors, "Squid Sisters")}
  4. イマ・ヌラネバー! (Ima Nuraneba!, "Now or Never!") {シオカラーズ (Sea O'Colors, "Squid Sisters")}
  5. フェス 最終結果発表 (Fes – Saishū Kekka Happyō, "Splatfest – Final Results")
  6. ゲットジングル (Get Jingle, "Reward Jingle")
  7. アタリメのテーマ (Atarime no Theme, "Cap'n Cuttlefish's Theme")
  8. タコツボバレー (Tacotsubo Valley, "Octo Valley")
  9. Eight-Legged Advance {OCTOTOOL (Turquoise October)}
  10. Tentacular Circus {OCTOTOOL (Turquoise October)}
  11. Cephaloparade {OCTOTOOL (Turquoise October)}
  12. Tornado Shuffle (Inkstrike Shuffle) {OCTOTOOL (Turquoise October)}
  13. Tacozones Rendezvous (Octoling Rendezvous) {OCTOTOOL (Turquoise October)}
  14. Octoweaponry {OCTOTOOL (Turquoise October)}
  15. ヒーローモード つづく! (Hero Mode – Tsudzuku!, "Hero Mode – Onward!")
  16. ヒーローモード Miss!! (Hero Mode – Miss!!, "Hero Mode – Splat!")
  17. ミステリーファイル (Mystery File, "Sunken Scroll")
  18. I am Octavio (I Am Octavio) {DJ Octavio}
  19. シオカラ節 (Shiokara-Bushi, "Calamari Inkantation") {シオカラーズ (Sea O'Colors, "Squid Sisters")}
  20. マリタイム・メモリー (Maritime Memory) {シオカラーズ (Sea O'Colors, "Squid Sisters")}
  21. SE:インクに潜む (SE: Ink ni Hisomu, "SFX: Hiding in Ink")
  22. SE:インクに飛び込む (SE: Ink ni Tobikomu, "SFX: Jumping in Ink")
  23. SE:インクを往く (SE: Ink o Iku, "SFX: Swimming Through Ink")
  24. SE:スプラシューター (SE: Splat Shooter, "SFX: Splattershot")
  25. SE:スプラチャージャー (SE: Splat Charger, "SFX: Splat Charger")
  26. SE:スプラッシュボム (SE: Splash Bomb, "SFX: Splat Bomb")
  27. SE:スーパージャンプ (SE: Super Jump, "SFX: Super Jump")
  28. SE:メガホンレーザー (SE: Megaphone Laser, "SFX: Killer Wail")
  29. SE:トルネード (SE: Tornado, "SFX: Inkstrike")
  30. SE:声(ガール)悦び (SE: Koe (Girl) Yorokobi, "SFX: Inkling Girl – Booyah!")
  31. SE:声(ガール)やられ (SE: Koe (Girl) Yarare, "SFX: Inkling Girl – Splatted")
  32. SE:声(ボーイ)悦び (SE: Koe (Boy) Yorokobi, "SFX: Inkling Boy – Booyah!")
  33. SE:声(ボーイ)やられ (SE: Koe (Boy) Yarare, "SFX: Inkling Boy – Splatted")
  34. SE:声(シオカラーズ)決め台詞 (SE: Koe (Sea O'Colors) Kimezerifu, "SFX: Squid Sisters' Motto")
  35. 元祖正調塩辛節 (Ganso Seichō Shiokara-Bushi, "Chorus of Calamari County")
  36. Splattack!(2014 E3PV)

Lyrics

From the booklet included with Splatune. They are all nonsensical; the Japanese hiragana simply gives the pronunciation.

シオカラ節 (Calamari Inkantation)

Ya weni marei mirekyarahire
Juri yu mirekerason

Kire hyari yoriherahe nyurahera
Nunnyura unera yurawera nyimerani

Chopperipo shurashurafe
Nannyurunire nifaferahi

Nannyuruni weranira shuraharahi
Nyurunirehara fe fe fe

Ya weni marei mirekyarahire
Juri yu mirekerason

Kire hyari yoriherahe nyurahera
Nunnyura unera yurawera fimera

Na nire jute mirekyaraherya
Nire yu mirekerason

Kire hyari nuriherahe nyurahera
Nunnyura unera yurawera fimerani

や うぇに まれぃ みれきゃらひれ
じゅり ゆ みれけらそん

きれ ひゃり よりへらへ にゅらへら
ぬんにゅら うねら ゆらうぇら にぃめらに

ちょっぺりぽ しゅらしゅらふぇ
なんにゅるにれ にふぁふぇらひ

なんにゅるに うぇらにら しゅらはらひ
にゅるにれはら ふぇ ふぇ ふぇ

や うぇに まれぃ みれきゃらひれ
じゅり ゆ みれけらそん

きれ ひゃり よりへらへ にゅらへら
ぬんにゅら うねら ゆらうぇら ふぃめら

な にれ じゅて みれきゃらへりゃ
にれ ゆ みれけらそん

きれ ひゃり ぬりへらへ にゅらへら
ぬんにゅら うねら ゆらうぇら ふぃめらに



ハイカラシンカ (City of Color)

Tyurirurimyotte winiwini
Yuwarinicche nawemohi

Tyurirurimyohe winiwini yuwani
Yuweni yuwenu na nanihenu

Fihananneni
Fihanenneni nienoweni

Noehinyuherahe nanuenoni shumeri
Hihana fiha nyueni

Fihana mifa nienoweni
Fihana mifa nienowena

Nyoehinuherahe nawenoni nyumeri
Fihana mifa nyueni

Hey! × 6

てゅりるりみょって うぃにうぃに
ゆわりにっちぇ なうぇもひ

てゅりるりみょへ うぃにうぃに ゆわに
ゆうぇに ゆうぇぬ な なにへぬ

ふぃはなんねに
ふぃはなんねに にえのうぇに

のえひにゅへらへ なぬぇのに しゅめり
ひはな ふぃは にゅえに

ふぃはな みふぁ にえのうぇに
ふぃはな みふぁ にえのうぇな

にょえひぬへらへ なうぇのに にゅめり
ふぃはな みふぁ にゅえに

Hey! × 6


キミ色に染めて (Ink Me Up)

Winyi weria t'yutteratesokamo
Hyarihyari herahora finyinyi

Winyi weria t'yutterateni wenoa
Nyinyineno

Hey! × 6

Honyahirae nyurunino
Weneninononi wenenoo

Honyahirae hyururino
Wiinyi weenuu nononinu

Menifirae nainea
Nonowieni nononeo

Honyahi wiiniinee
Honyahi niiniinuunuuna na

うぃにぃ うぇりあ とゅってらてそかも
ひゃりひゃり へらほら ふぃにぃにぃ

うぃにぃ うぇりあ とゅってらてに うぇのあ
にぃにぃねの

Hey! × 6

ほにゃひらえ にゅるにの
うぇねにの のに うぇねのお

ほにゃひらえ ひゅるりの
うぃーにぃ うぇーぬー ののにぬ

めにふぃらえ ないねあ
ののうぃねに ののねお

ほにゃひ うぃーにーねえ
ほにゃひ にーにーぬーぬーな な

Articles

Also included in the booklet are several fictional articles on some of the 'key artists' about the creation of their most popular titles.

Squid Squad

Japanese

Squid Squad
■ナワバリバトルを体現する、最強の4人組!

突然のように見えて、振り返ると必然であった。忘れもしない軟体暦2014年、Squid Squadは鮮烈なデビューを飾る。当時は曲名さえ誰も知らなかった"Splattack!"のライヴ・ヴァージョンがネットで公開されるや否や、ナワバリバトルに明け暮れる若者はこぞって音楽プレイヤーにダウンロードし、この曲はあっという間にバトルの定番BGMにノシ揚がった。僕も初めてこの曲に出会った時の、トルネードでやられたような感覚を今でも覚えている。真っ白になった僕の頭の中を彼らはあっという間に100.0%塗りつぶしてしまった。コテンパンにやられたのにスガスガしい、不思議な体験。そしてついに彼らの楽曲が1枚のアルバムとしてここにリリースされる。"ついに"ではあるんだけど、"いまさら"感は全くない。まさに"いつまでもカラフルで、ちょっぴりセピア"な彼らのキャッチ・コピーそのままだ。

♪ Splattack!(Jam Session)
Splattack!誕生のキッカケとなったジャム・セッションの録音を今回なんと特別収録!ライヴ翌日のスタジオ、いつも通り打ち上げに一番遅くまで残ったベースのIKKANは、いつも通り一番早くにスタジオに来ていた。彼が1人でベースを弾いているところに、続けてマッチングしてきたメンバーが参加していくことで形成されたこのグルーヴは、こうして聴いている僕にも彼らの心臓の鼓動を伝えてくれる。バトル開幕直後の、息の合った4人チームで生み出すインク・ストリームのような仕上がり。この後の彼らの音楽シーンでの活躍のまさにスタート地点だ。

♪ Splattack!
僕が彼らを知ったのは今では"幻のゼロ番シングル"とも言われているアマチュア時代のデモ・テープ(残念ながら今の所リリースはされていない)だ。そのころから荒削りでどこかなけるICHIYAのギターリフは健在で、茹で上がりそうなそのパッションには、将来の爆発を予感させるものがあった。そのデモ・テープが今アルバムのプロデューサーであるGISSANの目に留まり、ファースト・シングルであるこの"Splattack!"に繋がっていくことは、彼らのファンなら既にご存知のことだろう。デビュー曲でありながら代表曲。この曲抜きにもはやは語れない。

♪ Ink or Sink
バンドにとって"ヒット曲の次の曲"がイカに難しイカは、想像に難くない。だが、僕らがアゲまくったハードルをカラストンビにも掛けず、彼らはスーパージャンプさながらこの曲で飛び越えていった。守りに入ってしまうバンドが多い状況下で、彼らは常にチームの勝利だけを見据えたフォーメーションで二曲目に臨んだ。白眉なのはウニなのにイカしてる、最年少メンバーのドラムのMURASAKI。ドラムは後衛のチャージャーに例えられることがあるけど、この曲ではまるでブラスターを構えたように、果敢に前線をグイグイ押し上げていく。彼自身の頭のスパイクのスティックで刻まれる高速ビートで、バトル中にタッチパネルを連打する指にも思わず力がこもる。関係ないけど、ライヴでスティックを投げるのは、嬉しいけど危ないのでやめてほしい。

♪ Seaskape
もはや向かうところ敵なしの彼らがリリースした、イカしてスカした踊り食いサウンド。レディ・セット・ゴーからの、いきなりのフル・スロットル。そして後半戦のノシイカのような広く伸びのある展開。モンガラキャンプ場での野外ライヴにて、この曲で浸透圧がアガりきったファン達が思わず池にダイヴしまくったのは記憶に新しい。繰り返されるバトルの中での"ゾーン"のような体験に、僕らをあっという間に連れてさらってくれる、チョーシノリノリ、お墨付きの一曲。誰にも言ってないけど、僕の走馬灯のBGMはこの曲にもう決めている。

♪ Kraken Up
ハイカラシティの永遠に終わらない夏をそのまま沖漬けにしたような、究極のアッパー・チューン。初めてラジオでこの曲がかかった際、デカラインを走る車の平均速度が10km/h上がったのは今では有名な話。この曲に限らずだが、聴いているだけでべチャ、バシャ、トプン、脳内でバトルの色んなシーンのサウンドがオート再生される。(やっつけるよりもやられるシーンの再生回数が多いのは、僕だけだろうか?)このトロピカルなサウンドと軽快なボーカルは、バトルでやられても思わず笑顔にしてくれる。そんなハッピーな一曲だ。

♪ Metalopod
紅一点のシンセのNAMIDAは、いつだってこのバンドに色気を与えてくれる。クリアリング無用で爆走するギター・ベース・ドラムのダークなリフに、そんな彼女が必死で追加する少しおどけたサビ。このせめぎ合いはガチでエクストリームなバトルさながら。脳に汗かく一進一退の緊張感がたまらない。パッと聴いたときは異質に感じるかもしれないが、聴けば聴くほど彼ららしさが伝わってくるスルメ曲。なんだか一周して胎教に流したくすらなってきた。

♪ Now or Never!
説明不要。問答無用。ゲージMAXからのスペシャルウェポン。言わずと知れたライヴの鉄板曲で、フロアはイカ焼きになるほど盛り上がる。ちょうど60秒の曲だけど、バトルで聴くたび短くも長くも感じる、なんとも不思議な曲。3600フレームの中の攻防は、聴いただけで漏斗からインクを噴出してしまいそう。というか、この文章を書きながら聴いてたらチョット漏れた。単なるBGMに留まらず、ナワバリバトルの展開をも左右する欠かせない一曲。この曲が無い時ってどんな風にバトルしてたっけ?僕にはもう思い出せないや。

さてさて、イカがだったろう?僕も今回アルバムと言う形で聴く事で、彼らSquid Squadのチーム・ワークに改めて外套膜が震えた。曲ごとにメンバーは自分のブキを持ち替え、さらにその一曲の中でも4人の役割がめまぐるしく入れ替わる。その中で生み出される底の見えない無限の可能性は、これからも僕らをナワバリバトルの向こう側へ連れて行ってくれる事だろう。アップデートし続け、ヒットチャートを塗り替えてきた彼ら。Squid Squadの今後に、ぜひぜひ期待したい!

text by スズケ ゲソロウ(Fish and Chips)


Squid Sisters

Japanese

シオカラーズ
■時代を創るアイドルの、けして止まらない進化。

彗星のように現れ、瞬く間に日常となったように見えるシオカラーズ。今となっては、彼女らのいないハイカラシティを想像する事すら出来ない。だが実は、下積みの期間も短くない。彼女らは地方出身と言う事もあり、都会のスピード感にはなかなか馴染めなかった。不安、孤独、別離、郷愁。デビューまでの長いトレーニングの期間を経て、彼女らはデビュー曲の"ハイカラシンカ"でついにその殻を破る。一万年に渡る我々インクリングの進化の歴史を詰め込んだこの曲。その歌詞さながらに一足飛びにスターダムを駆け上がり、まさに時代を彩る存在となった。

"キミ色に染めて"の曲名が示す通り、彼女らは透明で何色にでも染まる。普段はおちゃらけているが、歌っている時の彼女らは我々とセカイを媒介する透明なメディアだ。陰と陽、静と動、ボケとツッコミ。二色のインクの境界にバトルの前線が生まれるように、二つのエネルギーの動的な平衡の中にこそ、生命の輝きが生まれる。この輝きを求めて、我々は古来よりナワバリバトルを繰り返してきたのだ。そのアオリとホタルのバランスは、民衆の想いの増幅器として作用し、途切れかけていたマツリを現代にカスタマイズして再誕させる。そして彼女らはその巫女となった。この時こそ、二人がアイドルとして完成した瞬間だろう。フェスのために二人がいるのか、二人のためにフェスがあるのか。その答えはどちらでもいい。全ては混ざり合い、輝き、そしてはじけるのだ。

彼女らを語る際にもちろん外せないのが、聴けば天国歌えば極楽、みなさんご存知"シオカラ節"だ。ハイカラ線の発車メロディにも使われている、全インクリングのDNAに刻み込まれたこの曲。そこに還ることはもう叶わない、全ての生命が孵りし母となる海。この唄には古来よりその海への"愛"と"畏れ"の二つの渦巻く思いが込められてきた。従姉妹同士の彼女らはもともとシオカラ地方の出身。この曲を民謡選手権で歌い、そこの審査員をしていた Shy-Ho-Shy の目にとまり、二人は夢を追って上京する事となる。マイクを逆さに持ってしまう失態をもカバーするその声量と、正反対ながら息の合った二人の掛け合いは、当時から高い完成度であった。その思い出の曲を歌いたいという彼女らのたっての希望で、このバージョンが作られることとなる。鮫皮太鼓を電子のリズムに置き換えて、これもまた鮮やかに彼女らは現代に蘇らせる。一度聴いたら忘れられないこのメロディは、いつの時代でも民衆を虜にしてきた。そしてそれは、これからもきっと変わらない。

初音源化の"マリタイム・メモリー"は二人の新しい一面を見せてくれる。明るいイメージの彼女らが歌うメロウなバラード。少女と女性のあいだの十七歳という今でしか歌えない、その儚さが美しい。ちなみに途中で入るラップは、レコーディング中に"ボロは着てても心は錦、艶やかな声は衰えておらん"と乱入した謎の老人のもの。スタッフは急いで追い出したそうだが、後で聴き返すと"意外とイイ"とのことで採用が決まったらしい。何故か不思議とマッチするこの合いの手は、彼女らの声にいつも以上の大きな安心感をもたらしている。自然豊かなシオカラ地方の息づかいが遠くに聴こえるようで、大事なものを呼び覚ましてくれる。

歌は世につれ、世は歌につれ。時代がアイドルを求め、そしてアイドルは時代を創る。いつか彼女らの歌を聴いて、我々はきっと今という時代を振り返る。時代を共有するため、これからも我々は歌い、踊り、遊び続ける。シオカラーズとともに。

【ワタヌキ マスミ(音楽評論家)】


Turquoise October & DJ Octavio

Japanese

OCTOTOOL & DJ Octavio
■地下流通の幻の音源、ついに地上へ!

ハイカラな音楽キッズならその名を一度は聞いたことがあるだろうそう、"OCTOTOOL"である。このたびマスター音源が発掘され、ここにディスク化される運びとなった。この音源の歴史は古く、一説には数十年前にとあるマニアが旧式の無線機で電波をキャッチしたのが始まりと言われている。その信憑性は定かではないが、長らく音楽ファンの間でこの音源はコピーを繰り返しこっそりと流通し続けていた。改めて彼ら(もちろん詳細は不明だが、ここでは便宜上"彼ら"と呼ぶことにする)が広く一般にも知られるようになったのは、軟体暦2014年11月6日の"イカスツリー電波ジャック事件"である。オオデンチナマズがいなくなったことには興味を示さなかったガールズ&ボーイズも、爆音で奏でられた聞いたことのないスタイルの音楽には、そのエンペラを傾けないわけにはいかなかったことであろう。そんな矢先に何とも都合良く音源がイカスツリー横のゴミ捨て場から見つかり、この度のリリースと相成った訳だ。
音楽的にはイカの様式とは全く独自の進化を遂げており、まるでオーパーツのような存在である。アルバムもたった一枚(独自編集の海賊版であり、こう形容するのは正しくなイカもしれないが)しか存在せず、そのメンバーの経歴、人数、すべての正体は不明。この音楽スタイルは古くから"勤勉"と形容されてきた。聞き慣れない言葉に感じるだろう、そもそも現在の我々の辞書には載っていない言葉なのである。言語学者に聞くところによると"享楽"の対義語らしいが、そんな概念が存在するとは我々には想像すらつかない。そんな謎だらけの彼らではあるが、その音楽はまさに雄弁である。様々な音源(どうやって鳴らしているか分らない物も多い)をツギハギした、タコ足配線のようなブレイク・ビーツが、一種の様式美としてここに結実している。でたらめな中に感じる規則性が、ポイズンボールのように聞く者の心を絡みとって離さない中毒性をもたらす。(かくいう筆者もエンペラにタコができるほど聴きこむことで生活リズムが狂い、毎朝七時キッカリに起きてしまうという真に乱れた生活を送ってしまっていた…)
"Eight-Legged Advance"の規律正しいビートの繰り返しの中には、シンプルながら彼らの真骨頂が感じられる。新しい冒険の幕開けのような、まさにこのアルバムのオープニング・チューンとしてふさわしい一曲だ。"Tentacular Circus"は例の電波ジャック事件の際に流れたことで、聞き覚えのある諸君も多いだろう。足元に注意しないと落っこちてしまいそうな、妙なバランスとスピード感の同居した美しいコラージュ。"Cephaloparade"の、音色を包丁で刺身にして盛り合わせた上にベースをヴォイスで奏でるという狂気、"Tornado Shuffle"のインクにセンプクし続けていたくなるような、ハイ・プレッシャーな中にあるどこか憎めない生真面目なユーモア。その一方で"Tacozones Randezvous"のエキゾチックでめまぐるしいサウンドが醸す、うっすら甘酸っぱい胸のトキメキ。彼らの見せる様々な形態は、その歴史の深みを感じさせる。"Octoweaponry"は、ユーモラスな咆哮の中に一方で迫りくる恐怖も感じさせる。三段階でトラックが追加されていく展開は、お約束的だが盛り上がらずにはいられない。彼らの集大成と言っても良いトラックだ。そして何と言っても"I am Octavio"。この一曲はOCTOTOOLのプロデューサーである"DJ Octavio"によるもの(らしい)。もちろん彼の正体も不明だが、この一曲で彼のカリスマを理解するには十分だ。必要以上に荘厳な幕開けと、その後の踊り倒せと言わんばかりのビートとビートの波状攻撃。そのエッジーなビートは我々をイカソーメンのように切り刻む。そしてこの波を潜り抜けた後の静けさの、なんだかツーンとくるセツナサ。
私は彼らが再び地上に現れ、新たな音楽をぶちまけてくれることを期待せずにはいられない。どこかに囚われてでもいない限り、きっと彼らは新しい音楽を生み出しているはずだ。ここではないどこかの地平で鳴り響くような、これらの楽曲。このアルバムのリリースにより、音楽シーンに留まらず、我々のカルチャーに大きな化学変化が起きるのではないか?私はそんなほのかな期待をしている。

オキモト ツケル(月刊タッドポール編集長)


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